富森行政書士事務所のコラム

キャンプ場にも旅館業の許可が必要?

キャンプ場にも旅館業の許可が必要?

2025年10月22日 23:38

キャンプ場が「旅館業」に該当するかどうかは、提供する施設の形態によって判断が分かれます。

「旅館業」とは、旅館業法に基づき「施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」と定義されています。


旅館業の許可が必要なケース(該当するケース)


以下のような、運営者側が宿泊のための常設の施設を提供し、宿泊料を徴収する形態の場合、旅館業法の「簡易宿所営業」などに該当し、許可が必要となります。

  • コテージ、ロッジ、バンガロー:寝具(ベッドや布団)の有無にかかわらず、宿泊用の建物が常設されている場合。

  • グランピング施設:テントやキャビンなどが常設され、宿泊設備(寝具など)として提供されている場合。

  • 常設テント:利用者が持ち込んだものではなく、運営者が設置したテントを宿泊用に提供し、料金を徴収する場合。


旅館業の許可が不要なケース(該当しないケース)


以下のような、宿泊スペース(場所)の提供に留まり、利用者が寝具を持ち込む形態の場合、旅館業法の許可は不要とされています。

  • オートキャンプ場・フリーサイト

    • 利用者が自分でテントを持ち込み、設営して宿泊する場所(サイト)のみを提供し、サイト利用料入場料を徴収する場合。

    • この場合、利用者に「寝具を使用して施設を利用させる」という旅館業の定義に原則として該当しないと解釈されます。



その他の必要な許可・届出


なお、キャンプ場を運営する場合、旅館業の許可が不要であっても、他の法律に基づき様々な許可や届出が必要になることがあります。

  1. 土地利用に関する許可

    • 農地をキャンプ場にする場合は農地転用許可(農地法)。

    • 大きな土地を開発したり、宿泊施設を建設したりする場合は開発許可(都市計画法、林地開発許可など)。

  2. 衛生・飲食に関する許可

    • 場内で調理した料理や食材を提供する場合:飲食店営業許可食肉販売業許可など(食品衛生法)。

    • キャンプ場にお風呂やサウナ(浴槽のあるもの)を設ける場合:公衆浴場営業許可が必要になることがあります(旅館業許可を取得している場合は不要なことが多いです)。

したがって、「キャンプ場」という単一の許可があるわけではなく、提供するサービスや施設の種類に応じて、複数の法律(旅館業法、食品衛生法、都市計画法など)に基づいた許可が必要になるかどうかを、事前に管轄の自治体(保健所や開発担当部署など)に確認することが不可欠です。



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富森行政書士事務所

行政書士 富森翔太

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