富森行政書士事務所のコラム

ネットでお酒を販売するには?

ネットでお酒を販売するには?

2025年10月21日 23:04

インターネットを通じてお酒(酒類)を販売するには、原則として税務署長から「通信販売酒類小売業免許」を取得する必要があります。

実店舗で酒屋を経営していて「一般酒類小売業免許」を持っている場合でも、ネットで全国の消費者を対象に販売するためには、この「通信販売酒類小売業免許」が別途必要になるのが大きなポイントです。



1. 必要な免許の種類


ネット販売で主に必要となるのは以下の免許です。

  • 通信販売酒類小売業免許

    • 対象: 2つ以上の都道府県にわたる広範囲の消費者に対し、インターネットやカタログなど通信手段で酒類を販売する場合に必要です。

    • 注意点: この免許では、原則として店頭での販売や、他の酒類販売業者への卸売はできません。また、販売できる酒類の種類に制限がある場合があります(例:国産酒の場合は、年間製造量が一定量以下の酒類などに限られる)。

  • (参考)一般酒類小売業免許

    • 対象: 実店舗で酒類を販売する場合に必要です。

    • ネット販売: この免許だけでも、店舗のある都道府県内のみを対象とするネット販売は可能ですが、全国を対象とする場合は前述の「通信販売酒類小売業免許」が必要になります。


2. 免許取得までの流れ


通信販売酒類小売業免許の申請は、販売場(事務所など)の所在地を管轄する税務署で行います。

  1. 事前相談: まずは管轄の税務署にある酒類指導官に連絡し、申請の要件や必要書類について事前に相談します。これが最も重要で確実なステップです。

  2. 要件の確認: 申請者は、酒税法で定められた以下の要件を満たす必要があります。

    • 人的要件: 申請者や役員が過去に酒税法などで処分を受けていないか。

    • 場所的要件: 販売場が適切な場所にあるか(他のお酒の販売場から近すぎないかなど)。

    • 経営基礎要件: 経営能力や知識、資金が十分にあるか。

  3. 書類の作成と提出: 申請書本体のほか、事業の概要、販売方法を示す資料(ECサイトの構成案など)、財務状況を示す書類(決算書、残高証明書など)、履歴書、誓約書など、非常に多くの添付書類を作成し、税務署に提出します。

  4. 審査: 税務署で審査が行われます(標準処理期間は通常2ヶ月程度)。

  5. 免許の付与と登録免許税の納付: 審査に通過すると免許が付与されます。その際、登録免許税(1件あたり3万円)を納付します。


3. 免許取得後の義務


免許を取得した後も、酒類を適切に販売するための義務があります。

  • 酒類販売管理者の選任: 販売場ごとに**「酒類販売管理者」を選任し、定期的に「酒類販売管理研修」**を受けさせる必要があります。

  • 未成年者飲酒防止の表示: ネットショップのトップページや商品ページなどに、「未成年者の飲酒は法律で禁止されている」旨の表示をしなければなりません。


<お問い合わせ>

富森行政書士事務所

行政書士 富森翔太

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