
産業廃棄物処理業の許可について
2025年10月22日 09:50
産業廃棄物許可の種類と概要
産業廃棄物処理に関わる事業を行うためには、廃棄物処理法に基づき、原則として都道府県知事または政令市長の許可が必要です。
この許可は、事業内容と取り扱う廃棄物の種類によって大きく以下の4種類に分けられます。
1. 産業廃棄物収集運搬業
これは、排出事業者の敷地内から、中間処理施設や最終処分場まで、産業廃棄物を運搬する事業の許可です。
許可が必要な区域は、廃棄物を積み込む場所と**積み降ろす場所(処分場など)**の両方を管轄する自治体です。
つまり、複数の都道府県をまたいで運搬する場合、関係するすべての自治体から許可を得る必要があります。
2. 産業廃棄物処分業
これは、産業廃棄物を中間処理(焼却、破砕、選別など)したり、最終処分(埋め立てなど)を行う事業の許可です。
許可は、処分施設の所在地を管轄する自治体から取得します。
3. 特別管理産業廃棄物処理業
通常の産業廃棄物よりも爆発性、毒性、感染性などがあり、人の健康や生活環境に被害を生じるおそれがあるものを「特別管理産業廃棄物」と呼びます。
これを取り扱うには、上記の一般の産業廃棄物とは別に、より厳しい基準が設けられた特別管理産業廃棄物収集運搬業または特別管理産業廃棄物処分業の許可が必要です。
許可取得のための主な要件
産業廃棄物処理業の許可を取得するには、事業を適正かつ継続的に行う能力があることを証明するため、いくつかの厳格な要件を満たさなければなりません。
1. 知識・技能
事業を行う個人または法人の役員などが、公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)などが実施する講習会を受講し、その修了試験に合格していることが必須です。
これは、廃棄物処理に関する法令や適切な処理方法の知識を証明するためのものです。
2. 経理的基礎(財政能力)
事業を安定して継続できるだけの財政的な基盤があることが求められます。
具体的には、直近の決算書などで債務超過ではないことや、適切な収益が見込める事業計画があるかなどが審査されます。
もし財政状況が要件に満たない場合でも、公認会計士や税理士など専門家による経理的基礎を有することの説明書を提出することで、認められるケースがあります。
3. 適切な施設と事業計画
収集運搬業であれば、運搬する廃棄物の性状に適した飛散・流出の恐れがない運搬車両や容器、そしてそれらを保管する駐車場の使用権限を有していることが必要です。
また、排出元から運搬先までの具体的なルートや処理方法を含む事業計画が適正であることも求められます。
4. 欠格事由に該当しないこと
申請者(個人事業主、法人の役員、一定割合以上の株主など)が、過去に廃棄物処理法などの法令に違反して刑罰を受けてから5年を経過していない、暴力団員ではない、または破産者で復権を得ていないなどの特定の事由に該当しないことが条件となります。
申請における重要なポイント
産業廃棄物許可の申請は、提出書類が多く、手続きが煩雑であり、自治体によってローカルルールが異なることがあります。
そのため、許可申請の専門家である行政書士に依頼して進めるのが一般的です。
また、古紙、くず鉄、あきびん類、古繊維など、専ら再生利用の目的となる特定の廃棄物(専ら物)のみを扱う事業者は、特例としてこの許可が不要とされています。
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富森行政書士事務所
行政書士 富森翔太
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